人類学の観察によるやわらかな思考実験とリフレーミング|CFD004(後編):中村寛(多摩美術大学教授) 東京大学×ソニーグループによる、Creative Futurists Initiative(以下CFI、越境的未来共創社会連携講座)は、領域を越境して未来へ向けた共創を先導する方々を迎える対話の場、Creative Futurists Dialoguesシリーズ(以下CFD)を展開しています。第4回目は、デザイン人類学者の中村寛氏(多摩美術大学リベラルアーツセンター/大学院教授)をゲストにお招きし、「デザインと人類学の共創」をテーマに据えたレクチャー&ワークが行われました。人類学、精神分析学、社会学など、さまざまな領域に影響を与えた学者のグレゴリー・ベイトソンの往年の授業をもとに、参加者は観察を通じた思考実験のプロセスとその意義を体感しました。前編はこちら。(※) 記事中の所属・役職等は取材当時のものTEXT: Nanami Sudo PHOTOGRAPH: Yasuaki Kakehi Laboratory PRODUCTION: VOLOCITEE Inc.目次: グレゴリー・ベイトソンの「カニの観察」の授業 具象と抽象の往復から見出す質的な比較の重要性 前提条件を取り払って問いを連鎖させる デザインは仕組みや仕掛けをつくること “いま”を見つめてきた人類学なら未来を描ける 「リフレーミング」の価値を伝えていくには グレゴリー・ベイトソンの「カニの観察」の授業 中村寛(以下、中村):まず、導入の体験として、観察に主眼を置くために「私たちは何をどのように見ているのか」という素朴な問いかけから始めてみたいと思います。そもそも「見る」というのはどういう経験なのかについても、後から振り返りたいと思います。フィールドの往路・復路があるとするならば、復路を疑似体験するというのが、これからやってみたいチャレンジです。この復路は「人類学者はフィールドでの経験をどのように振り返るのだろうか」という問いにも置き換えることができるかなと思います。裏に隠れたチャレンジとしては、「学際」や「越境」がこのCFDのテーマだと思うので、ディシプリンやバックグラウンドを超えた協業を、チーム内で擬似的に体験してみようというのが本日のワークの趣旨です。 「みる」というのは漢字で書くとたくさんのボキャブラリーが出てくると思います。観察の「観る」、診断の「診る」、視察の「視る」、看取る・看護の「看る」とか。英語でもそうですね。see,…





