
マルチモーダルな技術社会で問う言語表現の彼方|CFD005(後編):樋口恭介(SF作家) 東京大学×ソニーグループによるCreative Futurists Initiative(以下CFI、越境的未来共創社会連携講座)は、領域を越境し、未来へ向けた共創を先導する対話の場「Creative Futurists Dialoguesシリーズ(以下CFD)」を展開しています。第6回ではSF作家の樋口恭介氏を迎え、「大規模言語モデル(LLM)」や「マルチモーダル」といった近年急速に普及した概念をテーマに参加型レクチャーを実施しました。参加者とChatGPTを交えた対話では、多様な専門性を持つ人々が、マルチモーダルな言語交換の可能性と未来のスペキュレーションについて議論しました。(※) 記事中の所属・役職等は取材当時のものTEXT: Nanami Sudo PHOTOGRAPH: Yasuaki Kakehi Laboratory PRODUCTION: VOLOCITEE Inc.目次: テキストのみならず画像や動画まで認識・生成するAIの深化 人間とAIの相対が浮き彫りにさせる認知の多様性 LLMを通じて考える動物や植物の認知世界 テキストのみならず画像や動画まで認識・生成するAIの深化筧康明(以下、筧):それではCreative Futurist Dialoguesの第6回を始めます。今日はゲストスピーカーとして樋口恭介さんにお越しいただきました。作家、編集者、コンサルタントであり、東京大学情報学環の客員准教授としても活動されています。今回のテーマは「マルチモーダル・スペキュレーション・認知の彼方」です。LLMやマルチモーダルの概念を軸に、多様な形で対話が進んでいく予定です。ぜひ皆さんも積極的にご参加ください。 樋口恭介(以下、樋口):樋口と申します。本日はよろしくお願いします。2時間という長丁場ですが、単なる講義ではなく、皆さんと対話をしながら進めたいと思います。飲み会のような雰囲気で、気軽に声をかけてください。 まず、面白いことがありました。筧先生とは今日が初対面ですが、偶然同じスニーカーを履いていました。そして、デモを行う予定だったPCが、先週の熊本出張の際に大雨の中を歩いていたら壊れてしまい、持参できませんでした。そのため、皆さんとの対話をメインに進めたいと思います。 …