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樋口恭介
CFD_関係者向け
2024/12/20

大規模言語モデル「LLM」と語らう、マルチモーダルな認知の世界|CFD005(前編):樋口恭介(SF作家)

マルチモーダルな技術社会で問う言語表現の彼方|CFD005(後編):樋口恭介(SF作家) 東京大学×ソニーグループによるCreative Futurists Initiative(以下CFI、越境的未来共創社会連携講座)は、領域を越境し、未来へ向けた共創を先導する対話の場「Creative Futurists Dialoguesシリーズ(以下CFD)」を展開しています。第6回ではSF作家の樋口恭介氏を迎え、「大規模言語モデル(LLM)」や「マルチモーダル」といった近年急速に普及した概念をテーマに参加型レクチャーを実施しました。参加者とChatGPTを交えた対話では、多様な専門性を持つ人々が、マルチモーダルな言語交換の可能性と未来のスペキュレーションについて議論しました。(※) 記事中の所属・役職等は取材当時のものTEXT: Nanami Sudo PHOTOGRAPH: Yasuaki Kakehi Laboratory PRODUCTION: VOLOCITEE Inc.目次: テキストのみならず画像や動画まで認識・生成するAIの深化 人間とAIの相対が浮き彫りにさせる認知の多様性 LLMを通じて考える動物や植物の認知世界 テキストのみならず画像や動画まで認識・生成するAIの深化筧康明(以下、筧):それではCreative Futurist Dialoguesの第6回を始めます。今日はゲストスピーカーとして樋口恭介さんにお越しいただきました。作家、編集者、コンサルタントであり、東京大学情報学環の客員准教授としても活動されています。今回のテーマは「マルチモーダル・スペキュレーション・認知の彼方」です。LLMやマルチモーダルの概念を軸に、多様な形で対話が進んでいく予定です。ぜひ皆さんも積極的にご参加ください。 樋口恭介(以下、樋口):樋口と申します。本日はよろしくお願いします。2時間という長丁場ですが、単なる講義ではなく、皆さんと対話をしながら進めたいと思います。飲み会のような雰囲気で、気軽に声をかけてください。 まず、面白いことがありました。筧先生とは今日が初対面ですが、偶然同じスニーカーを履いていました。そして、デモを行う予定だったPCが、先週の熊本出張の際に大雨の中を歩いていたら壊れてしまい、持参できませんでした。そのため、皆さんとの対話をメインに進めたいと思います。  …
CFD_関係者向け
2024/12/11

人類学の観察によるやわらかな思考実験とリフレーミング|CFD004(後編):中村寛(多摩美術大学教授)

人類学の観察によるやわらかな思考実験とリフレーミング|CFD004(後編):中村寛(多摩美術大学教授) 東京大学×ソニーグループによる、Creative Futurists Initiative(以下CFI、越境的未来共創社会連携講座)は、領域を越境して未来へ向けた共創を先導する方々を迎える対話の場、Creative Futurists Dialoguesシリーズ(以下CFD)を展開しています。第4回目は、デザイン人類学者の中村寛氏(多摩美術大学リベラルアーツセンター/大学院教授)をゲストにお招きし、「デザインと人類学の共創」をテーマに据えたレクチャー&ワークが行われました。人類学、精神分析学、社会学など、さまざまな領域に影響を与えた学者のグレゴリー・ベイトソンの往年の授業をもとに、参加者は観察を通じた思考実験のプロセスとその意義を体感しました。前編はこちら。(※) 記事中の所属・役職等は取材当時のものTEXT: Nanami Sudo PHOTOGRAPH: Yasuaki Kakehi Laboratory PRODUCTION: VOLOCITEE Inc.目次: グレゴリー・ベイトソンの「カニの観察」の授業 具象と抽象の往復から見出す質的な比較の重要性 前提条件を取り払って問いを連鎖させる デザインは仕組みや仕掛けをつくること “いま”を見つめてきた人類学なら未来を描ける 「リフレーミング」の価値を伝えていくには グレゴリー・ベイトソンの「カニの観察」の授業 中村寛(以下、中村):まず、導入の体験として、観察に主眼を置くために「私たちは何をどのように見ているのか」という素朴な問いかけから始めてみたいと思います。そもそも「見る」というのはどういう経験なのかについても、後から振り返りたいと思います。フィールドの往路・復路があるとするならば、復路を疑似体験するというのが、これからやってみたいチャレンジです。この復路は「人類学者はフィールドでの経験をどのように振り返るのだろうか」という問いにも置き換えることができるかなと思います。裏に隠れたチャレンジとしては、「学際」や「越境」がこのCFDのテーマだと思うので、ディシプリンやバックグラウンドを超えた協業を、チーム内で擬似的に体験してみようというのが本日のワークの趣旨です。 「みる」というのは漢字で書くとたくさんのボキャブラリーが出てくると思います。観察の「観る」、診断の「診る」、視察の「視る」、看取る・看護の「看る」とか。英語でもそうですね。see,…
CFD_関係者向け
2024/12/11

デザイン×人類学、異分野の並走の挑戦|CFD004(前編):中村寛(多摩美術大学教授)

デザイン×人類学、異分野の並走の挑戦|CFD004(前編):中村寛(多摩美術大学教授) 東京大学×ソニーグループによる、Creative Futurists Initiative(以下CFI、越境的未来共創社会連携講座)は、領域を越境し、未来へ向けた共創を先導する方々を迎える対話の場、Creative Futurists Dialoguesシリーズ(以下CFD)を展開しています。第4回目は、デザイン人類学者の中村寛氏(多摩美術大学リベラルアーツセンター/大学院教授)をゲストにお招きし、「デザインと人類学の共創」をテーマに据えたレクチャー&ワークが行われました。レクチャーでは、中村氏の人類学研究におけるフィールドワークの実体験や仕事の事例から、デザインと人類学の差異とそれらの関わり方の可能性について語られました。(※) 記事中の所属・役職等は取材当時のものTEXT: Nanami Sudo PHOTOGRAPH: Yasuaki Kakehi Laboratory PRODUCTION: VOLOCITEE Inc.目次: 人類学研究者から美術大学の講師へ 潜在する「暴力」を社会的背景から減らす デザインと人類学の「介入」のベクトル 人類学研究者から美術大学の講師へ中村寛(以下、中村):みなさん、こんにちは。本日はよろしくお願いします。私は中村寛と申します。タイトルは「デザイン人類学の挑戦」ということで、今日はデザイン人類学が一体どういうものなのかというレクチャーと、とある観察のワークをしていただきます。それから、CFD002では藤田結子先生がエスノグラフィーの回をやってくださったので、そこからどういうふうにリフレクションしていくのかを、後半にお話したいと思っています。 今日のメニューとしては、最初に私の方から簡単な自己紹介を20分ほどさせていただきます。その後、早速チーム分けをして、チーム内で自己紹介をしてもらいながら、簡易的なチームビルディングをしていただきたいと思います。その後、グレゴリー・ベイトソンという非常にキテレツで魅力的な探究をした人類学者がいるんですけれども、その人がやっていた授業を少し再現したいなと思っています。時間通り進めば、残りの時間で応用編をして、最後に質疑応答にしたいなと思います。まず私の自己紹介をしますと、「寛」という字を書いて「ゆたか」と読みます。今日は名前と顔だけでも覚えて帰っていただけたらと思います。普段は多摩美術大学で、リベラルアーツセンターという教養科目を扱うところにいます。美術大学は、基本的にそれぞれの専門分野に分かれていて、実技学科は縦割りに分かれているんですけれども、私の所属しているところでは唯一、ファインアートやデザインも含めて、分野の横串を刺しています。従来の大学は、共創が生まれないような仕組みになっているのですが、私のいる学科が起点となって、横断をしています。また、2年くらい前に自分で立ち上げた、人類学にベースを置くデザイン会社《アトリエ・アンソロポロジー Atelier Anthropology LLC.》の経営もしています。他には「KESIKI」というカルチャーデザインファームにもジョインさせてもらっていて、主にリサーチやインサイトデザインを担当しています。 もともとは、一橋大学にある「Institute…
Vali Lalioti
CFD_関係者向けイベントレポート
2024/12/10

パーソナリティからデザインする人間とロボットの協働|CFD003(後編):Vali Lalioti(ロンドン芸術大学教授)

パーソナリティからデザインする人間とロボットの協働|CFD003(後編):Vali Lalioti(ロンドン芸術大学教授) 批評と創造をつなぎ未来を共創する、東京大学×ソニーグループによる連携講座「Creative Futurists Initiative」から派生した、越境しながら活躍するゲストを迎える対話の場「Creative Futurists Dialog」。第3回目のゲストは、ロンドン芸術大学からXRとロボティクス研究に取り組み、およそ30年にわたってクリエイティブとテクノロジーを掛け合わせた活動を生み出してきたVali Lalioti教授。カードを使って自分の強みを表す言葉を認識した後は、グループごとの特性に合った性格をもつロボットを表現するワークを通じて、異分野の人々がともにデザインに取り組むための土壌づくりを体験した。前編はこちら。(※) 記事中の所属・役職等は取材当時のものTEXT: Nanami Sudo PHOTOGRAPH: Yasuaki Kakehi Laboratory PRODUCTION: VOLOCITEE Inc.目次: 多様性のあるチームがイノベーションをつくる 性格を身体性を伴う動きで表現する ロボットならではの個性を楽しむ 異なる強みの結集がインクルーシブなデザインづくりへ アート×テクノロジーの異分野を越境する提案とは 多様性のあるチームがイノベーションをつくるVali Lalioti(以下、Vali):みなさんには、チームの強みに合ったロボットの特徴を5つ選んでもらいました。このエクササイズが実際のロボット開発にどのように役立っているのでしょうか。これは、サイモンというロボットです。グローバルIT企業のIBMによって開発され、宇宙ステーションで初めて使用されました。サイモンは宇宙飛行士の性格に合わせた個性を持つように設計されています。例えば、サイモンとは「どんな音楽が好きですか?」などの会話をすることができ、宇宙飛行士との生活を豊かにしました。…
Vali Lalioti
CFD_関係者向けイベントレポート記事_ピックアップ
2024/12/10

アート×テクノロジーでロボットの設計方法をデザインする|CFD003(前編):Vali Lalioti(ロンドン芸術大学教授)

アート×テクノロジーでロボットの設計方法をデザインする|CFD003(前編):Vali Lalioti(ロンドン芸術大学教授) 批評と創造をつなぎ未来を共創する、東京大学×ソニーグループによる連携講座「Creative Futurists Initiative」から派生した、越境先駆的なゲストを迎える対話の場「Creative Futurists Dialog」。第3回目はロンドン芸術大学からXRとロボティクス研究に取り組み、およそ30年にわたってクリエイティブとテクノロジーを掛け合わせた活動を生み出してきたVali Lalioti教授を迎え、教育やビジネスなど、さまざまなコラボレーターとともに広義のデザインを駆動してきたプロジェクトの数々をご紹介いただきました。(※) 記事中の所属・役職等は取材当時のものTEXT: Nanami Sudo PHOTOGRAPH: Yasuaki Kakehi Laboratory PRODUCTION: VOLOCITEE Inc.目次: 多様なバックグラウンドをもつ、世界のイノベーションの火付け役 「クリエイティブ・コンピューティング」の越境的研究とは 誰もがピカソのような創造性を持っている ロボットのデザインを通じてアート思考を実践に持ち込む方法 機能からではなくパーソナリティから考える 多様なバックグラウンドをもつ、世界のイノベーションの火付け役筧康明(以下、筧):皆さん、今日はご参加いただきありがとうございます。この「Creative Futurists…
CFD_関係者向け
2024/06/07

誰でもできるエスノグラフィーのはじめかた|CFD002(後編):藤田結子(大学院情報学環准教授)

誰でもできるエスノグラフィーのはじめかた|CFD002(後編):藤田結子(大学院情報学環准教授) 東京大学×ソニーグループ株式会社による「越境的未来共創社会連携講座」(通称 Creative Futurists Initiative:CFI)から生まれた新企画「Creative Futurists Dialogues」。第二回目となる今回のテーマは「現代エスノグラフィー」。ゲスト講師として情報学環から藤田結子准教授を迎え、エスノグラフィーの実践ワークショップを行った。メモの取り方、メモをもとにつくるフィールドノートという資料を作るための具体的な手順とポイントについて、実践とフィードバックを通じてレクチャーされ、今後のCFIの研究活動にもつながる方法論が共有された。前編はこちら。(※) 記事中の所属・役職等は取材当時のものTEXT: Nanami Sudo PHOTOGRAPH: Yasuaki Kakehi Laboratory PRODUCTION: VOLOCITEE Inc.目次: 主観と客観は明確に分ける。正確なメモをつくる方法とは ある一つの出来事でも、調査者によって異なる物語が残る 現場の再現性を高めるデータをつくるポイント 主観と客観は明確に分ける。正確なメモをつくる方法とは藤田結子(以下、藤田):今日はさわりだけですが、エスノグラフィーの学術における期間を設定するための理論的方法は、明らかにしたいことについて十分なデータが集まり、もうこれ以上新しいことは出てこないだろう、と思ったら終了になります。なので1年以上必要と言われることが多くて、5年、10年の調査もたくさんあるんです。だけれども、ビジネスなどが関わってくると、予算や期限のために調査期間は1日から数週間と比較的短くなってしまいます。その中でできる範囲でやらなければならない時に、どうやるのか? ということを見ていきましょう。まず最初に、現場に入る(エントリする)というのはすごく難しいんですね。みんな苦労するんですけれども、入って調査していいという許可を得ることがすごく難しい。なぜなら、知らない人が自分のフィールドにやってきて観察されるというのは、少し思うところがありますよね。ですが企業がやる場合は、お金を払ったりすることもできるので、エントリしやすい側面もあるのかなと思います。   次に、参与観察を行ってメモをとった後に、家やカフェでもう一度フィールドノートを書き上げるという作業をします。色々な実験でデータというものは取られていますが、エスノグラフィーにおいては、これこそがデータになるんですね。ある程度データがたまったら、そこからフォーマル・インタビューでさらに聞きたいことを聞いていきます。その後の5番目が抜けがちなものだと思うんですけれども、ある程度たまったフィールドノートを、データとしてコーディング等を用いながら分析します。データ分析には色々な方法、ソフトウェアがあるんですけれども、すごく細かくコーディングをして、データから叩き上げるような流派もあれば、テキストを繰り返し読んで理解しようというタイプの人もいます。それは研究にもよりますが、色々なタイプがあって、メリット、デメリットについて色々な議論があります。今日の実践ではデータ分析はやりませんが、最後の手順としてはそれを元に報告書、レポートを書くということですね。今日は手順の2番目と3番目を実際にやってみたいと思います。フィールドワークの現場では、まずメモを取り、そのメモをもとにフィールドノートを作ります。あとは、インタビューの書き起こしや、他にもよくあるのはフィールドワークに関して事実とは別に、自分自身が感じたことについて日記を書くというものがあります。なぜなら、その事実と自分の主観を切り分けられる前提、つまり「客観性」の担保がもとになるということです。そうでなくても、自分が見たものと自分の判断とを分けることができます。では、ここからボランティアのお二人に来てもらって、お話をしたり、遊んだりしてもらいます。その様子を皆さんで観察して、メモをとります。メモは文章ではなく、箇条書きで良いです。他にはスケッチやデッサンも良いと思います。後でそれを見て、より詳しいフィールドノートのレポートを書くときのことを思い浮かべてください。そして、人間というのは常にメモを取っていないと、さっき言ったばかりのことですら忘れてしまうものなので、とにかく全部メモを取ることが必要です。ヒントとなる単語でも良いです。 このような教室ではメモを取りやすいですが、メモを書きにくい現場、例えばクラブでエスノグラフィーを行う時に、みんなが踊っている中ではなかなかメモはできない。そういう時はトイレとかに行ってこっそり書く。本当にそう思います。それを研究者たちは真面目に議論しているんです。メモはすごく重要で、そこまでして、この現場で起こった相互行為や振る舞い、会話について、詳細を書き留める時間がないので、後で思い出すためのヒントとして書いていくんです。…
CFD_関係者向け
2024/06/07

エスノグラフィーから異文化を知り、フィールドを超える|CFD002(前編):藤田結子(大学院情報学環准教授)

エスノグラフィーから異文化を知り、フィールドを超える|CFD002(前編):藤田結子(大学院情報学環准教授) 東京大学×ソニーグループ株式会社による「越境的未来共創社会連携講座」(通称: Creative Futurists Initiative)から生まれた新企画「Creative Futurists Dialogues」。第二回目となる今回は、情報学環准教授の藤田結子准教授を招き、文化人類学の調査方法の一つである「エスノグラフィー」をテーマに、ビジネスやデザインなど、様々な領域で応用される現代のエスノグラフィーについて、基本を学ぶレクチャーと実践ワークショップを行った。(※) 記事中の所属・役職等は取材当時のものTEXT: Nanami Sudo PHOTOGRAPH: Yasuaki Kakehi Laboratory PRODUCTION: VOLOCITEE Inc.目次: 「エスノグラフィー」とはそもそも何なのか? あらゆるものや行動の裏に潜む「意味」を明らかにしていく ビジネスとデザインにおけるエスノグラフィーの応用 筧康明(以下、筧):これよりCreative Dialogues 第二回目を始めていきたいと思います。皆さんご参加いただきありがとうございます。前回の第一回目にも参加いただいた方と、今日初めて参加いただく方とがいると思いますが、東京大学とソニーグループが昨年末より新しい社会連携講座「越境的未来共創社会連携講座」を立ち上げました。通称:Creative Futurists Initiative(CFI)…
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2024/06/06

分野の壁をときほぐす「越境者」の思考法に迫る|CFD-001(後編):筧康明&戸村朝子

分野の壁をときほぐす「越境者」の思考法に迫る|CFD-001(後編):筧康明&戸村朝子 「越境的未来共創社会連携講座」(通称: Creative Futurists Initiative)は、教育活動と研究活動で構成される。前者のアプローチの一つとして2024年4月に始動した「Creative Futurists Dialogues」の第一回目レポートの後編をお届けする。登壇した筧康明教授とソニーグループ・戸村朝子氏に加え、東京大学、ソニーグループからの参加者も加わり、「越境の先の価値創造」という難しいチャレンジに今現在向き合う中で感じている、課題や疑問について対話が繰り広げられた。異なる分野の壁を溶きほぐし、乗り越え、さらには新たな分野をつくり…、第一線に立つからこそ見えてくる、彼ら彼女らのリアルな問題意識とは何か?(※) 記事中の所属・役職等は取材当時のものTEXT: Nanami Sudo PHOTOGRAPH: Yasuaki Kakehi Laboratory PRODUCTION: VOLOCITEE Inc.目次: 孤独からはじまる新しい取り組みに周囲をいかに巻き込むか 続けるために変わるという態度 「先鋭・先端」とは何か? を疑ってみる 主観と客観を行き来して美意識を育む 自分の中の「見えていない部分」に光を当てる 越境のマインドセットは反論に耳を傾けること 全員がプレーヤー。運動体としての「CFI」…
CFD_関係者向けイベントレポート
2024/06/06

「越境」する人材とは?東大×ソニー連携講座から対話プログラムが始動|CFD-001(前編):筧康明&戸村朝子

「越境」する人材とは?東大×ソニー連携講座から対話プログラムが始動|CFD-001(前編):筧康明&戸村朝子 2023年12月より東京大学 大学院情報学環に設置、ソニーグループ株式会社との協働を行う「越境的未来共創社会連携講座」(通称: Creative Futurists Initiative)。批評的、創造的アプローチを両立し領域を横断する人材の育成と研究に取り組む本講座では、教育的側面からの実践の場として新企画を始動。各回にゲスト講師を招き、対話やワークショップを行う「Creative Futurists Dialogues」の第一回目をレポートする。まずは、Creative Futurists Initiative(以下、CFI)の設立メンバーである筧康明とソニーグループ・戸村朝子がこれまでに実践してきた、異分野の交わりの中で創造されたものづくりの事例が紹介された。(※) 記事中の所属・役職等は取材当時のものTEXT: Nanami Sudo PHOTOGRAPH: Yasuaki Kakehi Laboratory PRODUCTION: VOLOCITEE Inc.目次: 「Creative Futurist」を紐解く三本の軸 実践的なワークショップを織り交ぜた「レクチャーシリーズ」 国内外の研究者、エンジニア、アーティストらが登壇予定 即興的にふるまうマテリアルとその周囲の体験をデザインする 対話とものづくりが新しい価値を創造する 筧:お待たせしました。本日はお集まりいただきありがとうございます。これから、東京大学とソニーグループが立ち上げて、今絶賛活動している「Creative Futurists Initiative(越境的未来共創社会連携講座)」という講座の中で、新しく企画として立ち上げた「Creative Futurists Dialogues」というシリーズ、今日がその第1回目になります。改めて、この講座の主宰の一人をしている東京大学情報学環の筧と申します。よろしくお願いします。 今日の趣旨を最初に説明します。僕自身がソニーグループの方々と一緒に議論しながら準備し立ち上げたこの講座について最初に少しお話しします。「越境的未来共創」「Creative Futurists」 などいろんなキーワードを今ここに置いているように、みんなで越境的に未来を共創していこうということを考えてこの活動をしているので、このダイアログシリーズの中では、越境的に活動している人たちだったりとか、共創している人たちだったりとか、ユニークな形で未来を形作る、見通すような活動をしている人たちに今後来ていただいて、内外、ソニー内外、国内外の方々に、色々なインプットをしてもらおうと思っています。 そのインプットを受けて、皆さんの役に立っていってもらう、というのもあるんですけど、今日はダイアログということで一方的に話をしていくということだけじゃなく、そこから新しいアクションやコミュニティが生まれたらいいなと思っています。 ここは割とカジュアルな場になったらいいなと思いつつ、初回なので緊張感が漂っていますが、横のつながりができたらなと思ってこの企画を始めました。 今日は1回目なので、僕が話すのが良いだろうということで、今日は僕の回です。次回以降は、月に1回ぐらいのペースでこういう場を持ちたいと思っています。 後半は、今日は東大から来られている方、ソニーから来られている方、その他で来られている方がいますが、それぞれの方のバックグラウンドだったり、問題意識だったり、経験というのを話し合うような場を作って、みんなで会話、ディスカッションができれば良いなと思いますのでよろしくお願いします。やり方は後ほど説明します。 先日ですね、先日といっても2月の実施だったので2ヶ月ぐらい経ちましたけど、キックオフのシンポジウムをしました。 公式Webサイトではその時の映像が見られるようになっていて、もうちょっと整えて記事にもしたりとか、色々な形でこの時の面白かったインプットの話はまとめていきたいと思っています。キックオフに来られた方も、まだ見てないよという方もいると思うんですけど、目を通してもらえると、僕らの最初の問題意識が伝わると思うので、ぜひ見てみてください。これはソニーグループの執行役専務兼CTOの北野宏明さんに来ていただいて、「Act Beyond Borders」というタイトルで、ボーダーを越えていかに新しい価値を作っていくのか、という話をしてもらいました。 東大からは特別教授の山中俊治さんに来ていただいて、彼も今ちょうど六本木の21_21 DESIGN SIGHTで新しい展覧会をされていますけど、「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」というテーマで、科学者とデザイナーあるいはアーティストが共創するということが、どのように大変でどのような価値があるのか、話をしてくれました。 その後のトークでは、東大の理事・副学長の林香里さんにも来ていただいて、ダイバーシティ等を主に見ておられる方ですけれども、面白かったのは、やはりデザイナーとかエンジニアとかアーティストっていうのは、基本的には新しいものを作る、新しい技術を作るというところに対してポジティブなんだけれど、林先生はもともとジャーナリズム等を専門にされていて、ダイバーシティ等を見ていると何かやはりものを作るということに対する功罪やそれに対してのネガティブな側面はやはり感じざるを得ないということをおっしゃっていて、かなり悲観的な側面で新しいものづくりとか技術というのを見ている。 ただこういうコミュニティとして新しいものづくりを担う人たちと、それに対して批評的なまなざしを持つ人たちが、対話をしながら一緒になって価値を作っていくっていう場があることに対しては、すごく前向きな場としてあった。こういった色々な側面から新しいものづくりっていうのを、一つの価値観に閉じずに立ち上げていくっていうことが、この東大の中でも、ソニーグループの中でもできるといいなと思っています。アカデミアと企業、社会を超えて様々な輪が広がっていったらいいなという問題意識で立ち上げたのが、この「Creative Futurists Initiative」という講座になります。「Creative…