生成AI×動物×プリクラから表象を再考する《ジェンダライズプリマル:動物鏡像儀式》:『TECH BIAS -テクノロジーはバイアスを解決できるのか?』:インタビュー 東京大学とソニーグループ株式会社による「越境的未来共創社会連携講座(通称:Creative Futurists Initiative、以下CFI)」では、8ヶ月間にわたる講座内の実践研究プロジェクトの成果発表として、2024年11月23~25日の3日間、東京大学本郷キャンパスにおいて「Tech Bias —テクノロジーはバイアスを解決できるのか?」展を開催。出展した4グループのみなさんにインタビューを行ないました。今回は、プリクラという媒介を通じて、私たちが無意識のうちに認識している動物表象の問題について議論の場を創出する《ジェンダライズプリマル:動物鏡像儀式》についてお話を伺いました。(※) 記事中の所属・役職等は取材当時のものTEXT: Nanami Sudo PHOTOGRAPH: KAORI NISHIDA PRODUCTION: VOLOCITEE Inc.目次: どんな動物になりたい? 文化やメディアによって形成される動物のイメージ 生成AIの不確実性も問題提起に活用 どんな動物になりたい?ーーまずは、今回の作品について教えてください。この作品は、動物に関するジェンダーバイアスをテーマとした「動物になれるプリント機」です。なぜこのようなものを作ったのかというと、「動物表象」に関する問題意識が出発点となっています。動物表象とは、例えば「狼男」や「鶴の恩返し」「犬のお巡りさん」などの物語や童謡、あるいは「ライオンキング」のシンバや「美女と野獣」のビーストなどのキャラクターのような、動物を使った表現全般を指します。これらは物語や商用コンテンツのキャラクターにとって重要な要素ですが、一方で固定のジェンダー観を作り上げる要因にもなっているのではないかと考えています。 例えば、「狼=強い男性」「うさぎ=かわいい女性」といったイメージは、すべて人間が作り上げた物語の産物です。このような表象が、メディアを通じて無意識に再生産されていることが課題だと感じています。そのため、生成AIを活用して「動物になれるプリント機」を作り、これを通じてジェンダーバイアスや動物表象について考えるきっかけを提供したいと思いました。 このプリント機を使うことで全ての問題が解決するわけではありませんが、生成された写真を観察したり、自分が選んだ動物に投影されたイメージを体感したりすることで、新たな議論や気づきが生まれることを期待しています。そして、「なぜ自分はこの動物を選んだのか」「この動物の姿に何を感じるのか」などの問いが生まれたらいいなと考えています。実際に来場者の体験の様子を見ると、動物を選ぶ段階から既にジェンダーバイアスが表れていることが分かります。例えば、うさぎや猫を選ぶ人の多くが女性で、そこには「かわいく撮られたい」という意識が根底にあるようです。 女性的に捉えられがちなウサギや猫、男性的に捉えられがちな狼やライオンにも雌雄があるため、種によってジェンダーを特徴づけるような表現自体が動物への敬意に欠くことなのかもしれません。捉え方の視野を広げると、動物への接し方が変わると思っています。人と動物との関係性を改めて見つめ直すことで、動物を用いた新しく多様な表現がこれから育まれると良いですね。文化やメディアによって形成される動物のイメージ今回私たちは、動物表象とジェンダーに関する調査アンケートも行いました。動物は、古今東西、ギリシャ神話から、ヨーロッパの神王伝説、中国や日本の民話に至るまで、しばしば物語の中で表象の記号として使用され、人間社会の文化に重用されてきました。つまり、動物は自らを語っているのではなく、人間社会を語っているということです。人間社会を語る動物表象は、どのように作られているのでしょうか。例えば、生活の中で人間と動物表象が結びつけられたメディアコンテンツがあります。アニメや漫画、ドキュメンタリーの中で、動物と人間の結びつけ方は、ジェンダーを中心にどう固定されてきたのでしょうか。結論としては、動物が使用される表現においては、ノンバイナリーなものが最も多いです。次に男性的、最後に女性的な表現の順で多く用いられます。そして、女性的な表象で用いられる動物の種はかなり集中していることがわかりました。うさぎなどの小動物がしなやかで柔らかく女性的と見られるのに対し、オオカミやライオンなどの力強いイメージの動物は男性的に表象されることが多いです。中でも興味深い例は、猫です。猫は一般的に室内で過ごし、外にあまり出ないことで知られていますが、その特徴が女性的な表象へ反映されることが多いです。このことから、ジェンダーに関する社会的役割のステレオタイプが、動物表象にも反映されていると考えられます。 一方で、ノンバイナリーの表象に使われる動物は、海洋など多様な環境に生息していて固定のイメージに捉われません。例えば、クラゲやイルカ、ペンギン、コウモリなどです。また、同じ動物の中でも、その年代や種別によって表象が異なる場合もあります。例えば、同じ犬でもドーベルマンやプードルでは異なる表象があったり、馬についても男性的なイメージがある一方で「マイリトルポニー」の少女の象徴や、男性騎手との異性愛的なパートナーとして捉えられる場合には、「ウマ娘」のように女性化された表象も存在します。…







